カニ缶詰 |
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缶詰の内側 |
缶詰の容器は、製缶会社がそれぞれしのぎをけずって新しい技術を投入しています。私たち消費者にも分りやすいのは、プルトップと呼ばれる飲料缶の飲み口の開発でした。これによりジュース・コーヒー缶の需要が急激にのび、同時に瓶ビールから缶ビールの時代へ、流通にも大きな影響を与えました。 もう一つは、FOE缶またはEO缶と呼ばれるプルを引き上げながら蓋の部分を全部開ける缶詰です。このEO缶の登場により缶切が無くても簡単に缶詰をあけられようになりました。これは頑丈に密閉された容器でありながら、開けやすいという画期的変革でした。 これらは缶詰の開け方の革新ですが、この他にも外形的には炭酸や缶ビールに使われる内圧缶、また、ジャバラや幾何学的凹凸を缶に施しデザインとともに強度を増した缶詰など外側から見てもわかるものがあります。 さて、缶詰の内側の話です。 缶詰のパッケージには「開缶後は早めに食べ、残った場合は缶詰から出して別の容器に移して保存してください」と書かれています。 これは、缶詰の缶が鉄にすずをメッキしたブリキでできているからで、空気にふれるとそこから酸化してしまうからなんです。 本来空気に触れることを想定していないので、昔の缶詰はこの内側がとても酸化しやすく缶詰を開けて具や調味液をそのままにしておくと空気に触れたところから缶の内側に酸化した黒い筋がつき、ひどくなると缶詰に残した食品に酸化した味が移って苦くなったものでした。 今でも、輸入缶詰の一部には内側にブリキがそのまま見えているのがありますね。 そして、このすずは蟹や海老の缶詰の場合、缶を開けて空気に触れていなくてもとても厄介な問題だったのです。 蟹や海老のたんぱく質(アミノ酸)には微量の硫黄成分が含まれています。肉や魚にもあるのですが、この硫黄成分がブリキのすずと化学変化をおこし硫化鉄を作り色も黒ずんでとても見栄えがよくありません。特に蟹や海老のような色の薄い白い食品の場合は目だってしまいます。 また、ストラバイト現象というガラス状の物質を作り出します。現在も、「缶詰にガラスが入っていた」という苦情相談があるようですが、このガラス状の物質は全く無害ですのでご安心ください。 この化学変化問題を解決したのが、北海道の根室、別海町で缶詰会社を経営していた碓氷勝三郎、和泉庄蔵たちで、1900年(明治33年)の事でした。碓氷は特産のホッカイシマエビを、和泉は蟹の缶詰の開発に取り組み、見つけたのが食品を紙で包むという方法だったのです。 この紙、硫酸紙(酸性バーチ)と呼ばれる水や油を通さない性質を持ったもので、バターを包む紙もこの硫酸紙です。名前こそちょっと怖い硫酸紙ですが、製造過程で硫酸が使用されるためで紙には硫酸は残っておりませんから大丈夫。 この紙をドイツから取り寄せ、蟹や海老の缶詰製造に成功したのでした。 現在も、蟹やホタテ、海老の缶詰などは硫酸紙につつまれていますが中には紙につつまれていないものもあります。実は、現在では、金属へのコーティング技術が進歩し中の食品とすずとが触れ合うということがなくなったからなのです。 このコーティングは缶詰の内容物によって違い、メーカーの技術を競うところです。 でも、高価な蟹缶では高級缶詰のイメージそのままに、現在でも大切に硫酸紙に包まれていますね。 蟹缶やホタテの硫酸紙で包まれている缶詰は必ず上蓋を開けてください。紙の包み方がしっかりしていますから底から開けると紙ごと全部取り出して開けないと中身を取り出せません。お気をつけて! さて、現在ではコーティングが缶の内側全体に施こされるようになりましたが、少し前までは技術とコストの問題で、缶詰の蓋の部分だけにされていました。そして、缶詰のボディーとは別に一枚一枚丁寧に紙につつまれたりしながら、製缶会社から缶詰会社に納品されていたのです。 まさに、缶詰の内側は技術と秘密の結晶だったのです。 |
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